公文(くもん) 和子 (かずこ) (54)

 1968年、和歌山県生まれ。北海道大学医学部を卒業後、英国のリバプール熱帯医学学校で修士(熱帯小児医学)を取得。シエラレオネやカンボシアでの病院勤務を経て2002年からケニアに移り、国際的なNGOでの医療活動やJICAの専門家として活動した。アフリカの健康問題は、エイズやマラリアなど熱帯特有の感染症、水衛生問題に起因する下痢、栄養失調などが挙げられる。公文さんは感染症の専門家とし保健医療分野の仕事に従事していたが、勤めていたクリニックで無償医療を受けているエイズ患者とわが子の医療費が払えない貧しい母親に遭遇し、医療格差があることを認識。また、日本のように専門的な施設がないため、個々の障害の程度に合った治療や教育を受けられない障害児と母親にも出会った。SDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」を目指して、2015年に首都ナイロビ郊外に障害児とその家族のための「シロアムの園」を開設。作業療法士、理学療法士、特別支援教師、保育士、ソーシャルワーカーなど約20名が障害児療育に携わっている。公文さんは地域において障害に関する理解が促進されるよう、子どもたちと家族が社会的経済的に自立できるよう、また障害児とその家族が社会から支援を受けられるようになることを願って活動を続けている。