反田(そりた) 恭平 (きょうへい) (28)

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 2021年10月、反田さんが第18回ショパン国際ピアノコンクールで2位に入賞したというニュースが駆け巡った。同コンクールは世界三大ピアノコンクールの一つで、5年毎にポーランドで開催されている。日本人の2位入賞は半世紀ぶりの快挙であり、コロナ禍で疲弊している日本社会にとって明るいニュースとなった。
 反田さんは1994年に北海道で父親は会社員、母親は主婦という家庭に生まれた。4歳からヤマハ、5歳から一音会でピアノを習っていたが、当時はサッカーに熱中していた。プロのサッカー選手になりたくて練習に明け暮れていたが、小学5年生の時に試合で右手首を骨折したことでサッカー選手の夢はあきらめ、趣味で弾いていたピアノに本格的に向き合うことになった。
 桐朋女子高等学校音学科(男女共学)の3年生だった2012年に若手音楽家の登竜門として知られる日本音楽コンクールに出場。ピアノ部門の1位(男性最年少)に輝いた縁で、ロシアの国立モスクワ音楽院で教鞭を執っているミハイル・ヴォスクレセンスキー氏のレッスンを受ける機会を得て、桐朋大学1年生の時に同氏の推薦を受け国立モスクワ音楽院に主席(外国人枠最高得点)で入学。留学生たちと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、2015年タカギクラヴィアを経て日本コロムビアからCDデビューを果たす。2018年、DMG森精機株式会社がドイツで開催した演奏会で急遽代役を務めたことで森雅彦社長と面識を持つ。この出会いが日本に音楽院を創設したいという目標を一歩前進させることになる。若手音楽家が大切な時期に音楽に専念できる環境を整えること、またプロとして活躍する中の一つの要素として、学生の時からオーケストラとの共演経験を積むことも重要と考え、オーケストラ、「ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)」を奈良に設立し、奈良から世界に向けて音楽を広めるべく活動を始めている。2017年からはショパンを深く理解するため、モスクワ音楽院からワルシャワ音楽院へ移って研鑽(さん)を積み、2021年に行われたショパン・コンクールで見事に2位入賞を勝ち取った。
 反田さんは指揮者になる、という夢がある。きっかけは、11歳の時にプロのオーケストラの前で指揮棒を振る体験をしたこと。指揮台で感じた緊張感と音圧は衝撃だった。指揮者の先生に「指揮者になりたいのなら、まずは楽器を一つ極めなさい」と言われ、ピアノに打ち込んだ経緯がある。現在は、ウィーンで指揮者としての研鑽を積みながら、国内外で活動を続けている。