川原(かわはら) 尚行(なおゆき) (53)

 1965年、福岡県北九州市生まれ。高校ではラグビーに夢中になり、3年生の冬まで花園を目指して頑張った。1992年に九州大学医学部を卒業し、外科の臨床医として経験を積んだ後、1998年に大学院を修了し博士号を取得した。海外に行ってみたくて外務省に入省。最初の赴任先は在タンザニア日本大使館で、その後、英国とスーダンでも医務官を務めた。川原さんが赴任した頃のスーダンは内戦中で、国土は荒廃し、国民生活は困窮を極め、病に苦しむ多くの人たちがいた。どんなに手を差し伸べたくても、医務官には職務制限があり、現地の人々への医療行為は許されなかった。思い悩んだ末に、目の前で苦しむ人々を助けたいとの想いから2005年に外務省を辞め、一時帰国して、賛同してくれる仲間と共に北九州市で、現地の活動を支援するNPO法人ロシナンテスを設立し、理事長に就任。家族を残し、39歳で仲間と共にスーダンへ戻った川原さんは、巡回診療からスタート。その後、活動は広がり現在、診療所プロジェクト、栄養改善プロジェクト、水事業、交流事業を実施している。単なる資金援助ではなく、実際の施工や維持管理などは現地の人に任せるなど、人々のやる気を引き出す川原さんの支援方法は、スーダン政府から高く評価されている。