菊本(きくもと) 照子(てるこ)(69)

 1946年、島根県生まれ。中学校教諭だった菊本さんは、外国を旅しては、いつか途上国で住みたいと思っていた。縁あって在ケニア日本大使館で受付の仕事をすることになり、1981年から約8年勤務。実際に目にしたケニアは、首都ナイロビでさえ多くのストリートチルドレンがいた。1年を経たころ菊本さんは、スラムで生活する孤児やストリートチルドレンの支援活動を始め、1984年にNGOを設立。1987年には、政府から借り受けたナイロビ郊外の土地に、スワヒリ語で希望を意味する「マトマイニ・チルドレンズ・ホーム」を開設した。敷地に余裕があったことから、農園や家畜小屋なども併設。子どもたちが世話して収穫した有機野菜はナイロビの日本人家庭やレストランへ販売しており、その収益は現在ホーム運営資金の一部を賄う規模に成長した。菊本さんは、支援を受けてあたり前と考える貧困層の人たちがいることが気に掛かっていた。甘えの構造を変え、プライドや自信を取り戻してもらいたいと、2001年から2006年まで貧困層の生活改善プロジェクトを実施した。また、ストリートチルドレンを直接救うより、その母親、特にシングルマザーの自立支援が必要と考え、2011年には職業訓練工房を開設した。現地の人々の生活基盤を確固たるものにする菊本さんの支援活動は今も続いている。