小川(おがわ) 正子(まさこ) (62)

 1951年、大分県生まれ。京都の看護学校を卒業後、大阪の病院に勤務。郷里で看護学校の教員を務めた後、行動心理学を修めるため上京。大学受験生と夜勤看護師との二足のわらじを履きながら奮闘していたとき、青年海外協力隊の広告が目に入った。当時35歳。その頃の協力隊の年齢制限ぎりぎりだった。大学はいつでも行ける、と思い切り、1988年にパラグアイへ。以来、中南米の国々に保健医療制度を作る、国際協力機構(JICA)の長期プロジェクトに6回派遣された。初回は現地の大学教員として日本の技術を伝えた。2度目のホンジュラス派遣では、JICAの専門家として看護基礎教育プログラムづくりに携わり、現地スタッフとの意見衝突を経験した。3度目のエルサルバドル派遣では、信頼関係を築きながら現地の保健医療を変えることに尽力した。特に力を注いでいるのが「南南協力」。まず、現地の技術の高い看護師を指導。その人が他の看護師たちを教え、さらに近隣国に専門家として派遣する。この仕組みは、文化や風習が近いことから、より実効性のある国際協力が期待できる。25年間に訪れたのは8か国。昨年10月にはJICAから、国際協力についての感謝賞が贈られた。小川さんは、中南米版「国境なき看護師たち」を目指して活動を続けている。